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事例1

開業したが来院数が一向に増えない。場所を移転したほうがいい?

開業しても患者数がちっとも増えない——。
その最終的な対応策の一つが移転である。ただ、軽率な判断は禁物。
移転を決断する前に、何を検討する必要があるのか。
移転して成功するには、どんなポイントがあるのか。今回は、移転に関する留意点を提示する。

S内科クリニック

都心から少し離れた住宅街にあるS内科クリニック。駅から近い商業ビルの一角で開業したものの、患者数がさっぱり増えない。患者数を伸ばすためにも、移転すべきかどうか迷っている。

診療圏調査の甘さが露呈し、患者数が伸び悩む

開業して2年くらいたっても患者数が伸びないと、移転を考える院長も決して少なくありません。
つい最近も、開業して1年半の院長から「患者数が1日20人程度で、移転すべきかどうか迷っている」との相談を受けました。

1日当たりの患者数が伸び悩んでいると、つい「場所が悪いのでは」と立地のせいにして移転を考えがちですが、まずは十分に現状を分析し、そのうえで移転を検討することをおすすめします。移転するとなれば当然、資金が必要になり、開業した際の借金が残っているとダブルコストとして負担が大きくなるからです。過去に、生活にまで支障が出て、泣く泣く勤務医に戻ったケースを知っています。

検討すべきポイントの1つは、立地や事前の診療圏調査が本当に適正だったかどうかということです。
私が相談を受けた前出の診療所のケースでも、実際に調べてみると事前の診療圏調査が実に甘いことがわかりました。同院の近くには、古くから開業している同じ診療科の先生がおり、数多くの患者さんが来院していました。
しかし、その1カ所しかないことを理由に、開業支援業者から「開業すれば、半数の患者さんの来院が見込める」と言われたそうです。
また、「バスターミナルがある駅から近い」と紹介され入居したビルは、確かに駅から近いものの、1本裏道にあり駅からは見えない場所。さらに、バスターミナルの乗降客の流れは、そのビルの前ではなかったのです。

診療所は、飲食店などのように駅前の路面店である必要性はありませんが、アクセスは重要。
こうした明らかな立地の選定ミスが生じないよう、事前に冷静に見極めることが必要です。

自分自身の姿勢をチェックし、移転の必要性を再考する

検証すべきもう1つのポイントは、医師の姿勢です。患者数が伸びない原因には、「患者さんの話を聞かない」「患者さんの目の前でスタッフを怒鳴る」など、院長の問題行動があることも少なくありません。
良かれと思ってとっているふだんの行動が実は患者さんの不満につながっている可能性もあります。
患者さんに対してアンケート調査を実施するなど、どういう評価を受けているのか、客観的に気づく“機会”をつくるといいでしょう。

知人のある大学医師は、開業したいと言う後輩の医師にこんなことを忠告そうです。「君の前任の先生より患者さんが増えたか? 一緒に働く看護師からも評価を得ているか。まず、それを確認すべき。そこで評価されていない医師が開業しても、成功しない」と。

診療所は、院長が“商品”ともいえます。治療や診断の技術はもちろん、患者さんが話しやすいかなど、今一度、自己チェックすべきです。「自分の人柄が伝わっていない」というのであれば、院内勉強会などを開催するなど、診療以外に患者さんと触れ合う機会を設けてみるといいでしょう。
改善点を見つけても修正したり、あるいは修正する努力ができなければ、移転しても同じように失敗する可能性が高いと思われます。

確かに、診療所は場所が重要です。しかし、それがすべてではありません。「場所さえ変われば患者数が増える」と思うのは幻想。繰り返しますが、すべてやり切ったかどうかを確認してから、移転を検討すべきです。

競合診療所の調査や口コミ発生などが成功のカギ

最後に、移転で成功を収めるための秘訣を3つ提示します。

① きちんと診療圏調査を行うこと
診療圏調査を他人任せにする院長をよく見かけますが、企業などは「サポート」をしてくれても“お膳立て”まではしてくれません。院長自ら候補地に赴き、患者さんになった時のことを想定して、アクセスの良し悪しを自分の目で確認すべきです。

競合の診療所があるのならば、インターネットをうまく活用して、その診療所の雰囲気や院長の経歴・専門分野を調べるほか、医薬品・医療機器の企メーカー業や卸業の担当者に評判などをそれとなく聞いてみるといいでしょう。

② クリニックモールの活用
複数の診療所が1カ所に集まっているクリニックモールに移転すれば、ほかの診療所からの紹介や、多様なニーズの患者さんが集まるため、単体で診療所を運営するよりも自院が患者さんの目に触れる機会が増えることが期待できます。
ただし、クリニックモールでは院長の性格が重要になります。他科の医師との連携・協働が必要なため、個性的すぎたり我の強い院長だとうまくやっていけないケースもあります。協調性が求められます。

③ 口コミ発生への取り組み
Web上のサイトを含めて口コミ、消耗戦は患者数を伸ばすために不可欠な要素です。
特に地方や都市郊外は口コミ文化の影響が大きい傾向にあるので、口コミが発生するような仕掛けを心がけるべきです。
町内会や老人会の“顔役”といえる人などに院長自ら挨拶に行ったり、内覧会を開催して招待するといった工夫が考えられます。
影響力が大きい人に自院を知ってもらうことで、口コミが早く発生・拡大していくことが期待できます。

佐久間賢一

株式会社MMS代表取締役 佐久間 賢一
国内最大級の税理士法人において医療機関に対する税務・コンサルティングを行う部署を立ち上げ、2009年3月まで代表を務める。社団法人日本医業経営コンサルタント協会理事。