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事例2

経営が軌道に乗り次のステップを模索。分院展開のタイミングやメリットを知りたい。

診療所の場合、一般的に開業してから5~7年ほどで経営が安定してくるといわれている。
主な医療機器のリースが終了し、手元に多くの現金が残るからだ。
自院の発展を考える際、次のステップとして選択肢の一つとなり得るのが分院の開設。
メリットだけでなく、デメリットもきちんと押さえた上で検討したい。

Y内科クリニック

保険診療のほか自由診療で統合医療を実践している関東の内科診療所。1日100人以上の患者が来院するなど、経営は安定している。開業から10年たったのを機に分院を開設しようと考えているものの、メリットがわからず迷っている。

新たな事業を展開する時が分院開設のベストなタイミング

経営が軌道に乗って「分院を展開すべきかどうか悩んでいる」との相談をよく受けます。
歯科や自由診療をメーンとしている診療所などを中心に、分院を展開する診療所が増えていますが、ともすれば本院と共倒れになることがあるので十分な検討が必要です。

「診療圏の拡大」や、共同購入による「コスト削減」など、分院展開には様々なメリットがあります。
しかし、私は「機能分化」こそ最大のメリットと考えています。
たとえば、外来だけだった内科診療所が新たに在宅専門の診療所をつくる、整形外科で新たに予防のための運動施設を開設する、あるいは眼科で本院の白内障手術患者獲得のためにサテライト機能を持つ分院展開を行うなど、本院とは異なる機能をもった診療所を展開することで組織の発展につながる事例を多く見て来ました。

こうした観点から、分院開設のタイミングは新たに事業を始める時がベストと言えるでしょう。

ちなみに、分院開設は医療法人化していなければできません。医療法で1人の医師が解説できる診療所の数は1つまでと定められています。
複数の都道府県にまたがって分院を開設したい場合は、広域医療法人の認可を厚生労働省から受けるか、別の医師を理事長とする医療法人を新たに設立し、グループ化することが必要となります。

診療方針の違いに目をつぶり、給与体系に工夫を

分院展開において、私は今まで多くの失敗例も見て来ました。
理由は、分院運営が非常に難しいからです。
成功するためのポイントと考えられるのは次の3点です。

① 信頼出来る医師の確保
分院の院長を任せるわけですから、信頼出来る医師を確保しなければなりません。
やはり人脈を頼って探すのが一番いい方法でしょう。
出身医局が同じであれば治療方針などの差も少ないと思われます。
注意しなければならないのは紹介会社の活用で、人柄も診療方針もわかりません。
職場を転々としている医師もなかにはいると聞きます。
そのような場合には時間を掛けて見極めることが大切です。

② 分院院長のモチベーション向上
分院展開が失敗する理由の多くが、分院院長のモチベーション低下です。
最終的に退職してしまい、分院が閉院に追い込まれたケースも数多くあります。

モチベーションを下げてしまう要因として2つ挙げられます。
1つは「医療行為に対する意見の相違」です。
医師といっても、出身大学などによって医療行為に対する考え方が異なります。
本院の院長が少しでも自分と考え方が違うと、分院院長のモチベーションを下げてしまうのです。
実際に、ある首都圏郊外の検診専門診療所が、患者数が安定してきたことから規模拡大を狙って都内の一等地に分院を設立しました。
しかし、分院院長に対してあらゆる面で高いレベルを求めすぎたため、その院長が退職。
本院院長が分院でも診療するはめになり、最終的には本院、分院共に大幅な赤字で危機的状況に陥った例がありました。

もう1つの要因は「給与体系」です。
一定額の給与と決まっていると、分院院長は「給与が一定なら、がんばってもがんばらなくても…」と思ってしまい、モチベーション低下につながっていくというわけです。

対策としては、前者では「分院長とのコミュニケーションを図り、ある程度は目をつぶる」こと。
お互いの考え方を話し合い、尊重する意味でもあまり口出しをしない。
借金を背負ってキャリアを積んできた本院院長と、雇われ院長とで意識に差があるのは当然のこと
「山の頂上と5合目では見る景色が違う」くらいに考えていないと、ストレスを抱えてしまいます。

後者では、インセンティブをつけるなど、給与体系に何らかの工夫を施すことをおすすめします。
私が知っている例では、レセプト1枚あたりの単価を決めて出来高払いを一定額にプラスして支給しているところもあります。
良いかどうかは一概に言えませんが、モチベーションを上げる手段にはなっています。

ほかにも、開設する際の借金の連帯保証人にするといった "縛り" をつけることも効果があります。

③ 本院カルチャーの共有化
分院に独自のカルチャーができてしまうと、組織として成り立たなくなります。
本院のカルチャーを定着させるために、スタート時から本院のスタッフをある程度配置したり、本院院長が適度に顔を出すといったことが必要です。
本院から文書で指示が回ってくるよりも、直接買おを合わせるほうが、言葉以上のものが伝わります。
さらに両院のスタッフを交流させればマンネリ化防止にもつながるでしょう。
こうした観点から、あまり遠隔地に分院をつくることは避けるべきです。

分院展開の効果は、診療所の数による単純な足し引きで現れるものではありません。
何倍もの相乗効果が得られる半面、マイナス効果につながる恐れもあります。
資金面だけでなく、こうした対策ができるかどうかを含めて慎重に検討することが肝要です。

佐久間賢一

株式会社MMS代表取締役 佐久間 賢一
国内最大級の税理士法人において医療機関に対する税務・コンサルティングを行う部署を立ち上げ、2009年3月まで代表を務める。社団法人日本医業経営コンサルタント協会理事。