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事例4

医療法人化を検討したい。メリット・デメリットを教えて!

開業時に借り入れた資金などの返済が終わると、途端に手元に残るお金が一気に増える。
診療所の成長期にあたるこの時期には、事業拡大や節税対策などで院長の多くが医療法人化を検討する。
開業から10年目に入ったK内科クリニックもリースアップとなり、法人化すべきかどうかを悩んでいる。
今回は、手続きなどの基本的なことも含めて、医療法人化のポイントを解説する。

K内科クリニック

開業から9年が経過し、経営は安定。開業時に借り入れた融資などの返済が終わった2年前からは手元に残るお金が一気に増え、節税対策を模索していた。その1つに法人化があることを知ったが、デメリットもあると聞き、迷っている。

第5次医療法改正で新設の基金拠出型医療法人に該当

ここ数年続いていた開業ブームの時期に開業した院長が多いことから、最近は「医療法人化すべきかどうか悩んでいる」という相談をよく受けます。
医療法人といっても、社会医療法人、特定医療法人、特別医療法人、基金拠出型医療法人など、さまざまな類型があります。
それぞれの詳細な説明は別の機会にさせていただき、今回は診療所の医療法人化で該当する「基金拠出型医療法人」について説明します。

基金拠出型医療法人とは、医療の透明性・公益性を確保する観点から、第5次医療法改正で設けられた新しい類型で、基金制度を活用した医療法人社団をいいます。
この基金は、医療法人の財産として拠出されるもので、金銭その他の財産が認められています。
当該医療法人が拠出者に対して定款の定めのあるところに従って、返還義務を負うほか、以下のような特性をもっています。

① 出資金ではなく、貸付金
性格は劣後債務でありながら、利子をつけることができない

② 基金拠出者は、個人、法人を問わない
株式会社、MS法人も拠出可能

③ 基金拠出者は、必ずしも社員になる必要はない
株式会社が基金拠出型医療法人に出資は可能だが、社員になるには社員総会の決議が必要

④ 基金返還手続き
基金返還は定時社員総会で決議

⑤ 基金の返還は拠出額を限度とする
残余財産の帰属を定款で定める…国、地方公共団体など

医療法人化 6つのメリット

医療法人化のメリットは大きく次の6つが挙げられます。

メリット① 節税効果
個人課税の場合、最高税率が50%ですが、法人税は実質40%のため、可処分所得が増えます。
また、理車長報酬が給与扱いになるため、給与所得控除が適用されます。
たとえば報酬額が2000万円であれば270万円の節税ができます(2011年税制改正ではこのメリットに影響が生じる)。

ただし、どの程度節税できるのかをシミュレーションしておくことをおすすめします。
後述しますが、法人化にはデメリットもあります。
節税効果が低いのに安易に法人化してデメリットのほうが大きくならないように注意が必要です。
法人化に詳しい税理士などの専門家に相談するべきでしょう。

ちなみに、当社では課税所得3000万円前後を、法人化を検討する1つの目安にしています。
ある程度節税効果が期待できるからですが、ただしこれも診漬所の規模や職員の数などによって結果が異なります。

メリット② 退職金の受け取りが可能に
個人事業の場合は院長、院長夫人ともに退職金を受けることは認められていません。
一方、法人の場合は月額報酬×勤続年数×功績倍率で計算した退職金を受けとることができ、さらに「退職所得」は分離課税であるため、課税が軽減されるメリットがあります。

メリット③ 非常勤理事選任がしやくなる
個人事業の場合は、専従者に一定の要件が設けられていますが、法人の場合は理事3人以上、監事1人以上と人数の要件が設けられ非常勤としての理事が選任できます。

メリット④ 分院展開が可能
個人事業ではできなかった分院展開が可能になります。

メリット⑤ 事業承継がしやすくなる
個人事業の場合は、相続・贈与による承継となり、基本的には先代診療所の廃止の手続きを行い、継ぐ医師は新たに開設手続きを行わなければなりません。
法人化すれば、新たな理事長して後継者を選任し、拠出金は贈与・譲渡することで承継が可能となります。

メリット⑥ 決定金額に対する源泉税
個人事業の場合は(社会保険診療報酬振り込み額-20万円)× 10%が源泉徴収されますが、法人の場合は、源泉税がなく資金繰りにメリットが生じます。

医療法人化 4つのデメリット

次に、デメリットについて説明します。デメリットは、大きく4つあります。

デメリット① 社会保険への強制加入
医師国保は継続しますが、厚生年金に強制加入することになります。
理事長報酬に対する厚生年金保険料は報酬に応じて決まりますが、国民年金より負担が増えることが多く、その負担は法人、個人折半となります。

デメリット② 個人事業の借入金、買掛金の処理
法人化した場合、場合によって個人事業時代の借入金や買掛金が引き継げないことがあります。
その場合、理事長報酬から返済せざるを得なくなり個人の可処分所得(税金を払った後の自由に使える所得)が個人時代より減ることもあります。

デメリット③ 医療法人の資金使途
資金の使い途に制限がかかり、投資や株式購入などは医療法人としてはできません。

デメリット④ 第5次医療法改正による影響
基金拠出型医療法人では、将来、医療法人を解散する場合に拠出金は金額の範囲でしか返済されない劣後債権になっています。
残余財産は定款で定めた国、地方公共団体等に帰属することになります。
また、監事が担う業務負担が以前よりも重くなっています。

ほかにも、個人と法人とで交際費の限度の有無など違いがあるので、専門家に相談するなど十分検討されることをおすすめします。

佐久間賢一

株式会社MMS代表取締役 佐久間 賢一
国内最大級の税理士法人において医療機関に対する税務・コンサルティングを行う部署を立ち上げ、2009年3月まで代表を務める。社団法人日本医業経営コンサルタント協会理事。