診療報酬・介護報酬の同時改定は、かなり厳しい内容になるものと予想されています。
現状の情報の少ない中ですが、平成30年度の診療報酬改定の方向性を読み取る資料として、中央社会保険医療協議会における議論のほかに、以下が挙げられます。

平成28年度診療報酬改定附帯意見
平成29年政府基本方針
▶ 骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)
▶ 未来投資戦略
▶ 規制改革実施計画
▶ まち・ひと・しごと・創生基本方針

いずれの計画も実現の可能性は別として、今後の診療報酬改定や社会保障改革に影響を与えるものです。

平成30年度は診療報酬と介護報酬の同時改定であるため、中央社会保険医療協議会と社会保障審議会介護給付費分科会との、「医療と介護の連携に関する意見交換」が開かれ、方向性のすり合わせが行われています。
方向性としては「地域包括ケアシステム」を中心に据えて、医療と介護の連携をより一層深めること、かかりつけ医に対する負担軽減策などを講ずることなどが確認されています。
その中でのキーワードとして、2040年に向けて「多死社会」を迎えるにあたり、現状は居宅での看取りを行う医療機関は全体の5%程度、患者の約80%が病院で亡くなっている状況から、病院以外での看取りをいかに増やすかに議論が集中しています。
また、「看取りに関する家族の希望」と医療従事者との齟齬がトラブルに繋がることもあり、介護事業者と医療機関との情報共有の推進も重要視されています。

行政としてはかかりつけ医、かかりつけ薬局の推進により、ワンストップサービスやハブ機能を期待しているのかも知れないが、時間が必要なことではないでしょうか。

なお、例年の改定では中央社会保険医療協議会において外来診療について触れられるのは年が明けてからと言うのが通例ですが、今年は既に2月から中央社会保険医療協議会にて俎上に上がるなど、例年以上に外来診療・在宅医療に力を入れていることが伺えます。
以下、その中で気になる項目について記載致します。

■遠隔診療
 時代の流れもあり、避けては通れない項目だと思われる。テレパソロジーや心臓ペースメーカーの遠隔モニタリングなどは既に点数化されており、糖尿病などの慢性疾患に対する遠隔診療が俎上に上がっています。

■AIの活用
 診療支援にAIを活用できる分野として以下の4分野を挙げ、2020年度に実用可能とした報告書を厚生労働省が出しています。
 AIというと人間のやることを機械が行うというイメージが強いが、人の業務を単純に置き換えるのではなく、人が判断を下す際に、AIの知識や技術を使いこなすという視点です。
・遺伝子を調べて効果的にがん治療などを進めるゲノム医療
・X線や内視鏡、皮膚科や眼科などで得られる画像を集約した診断支援
・問診や検査のデータを蓄積した治療支援
・ターゲットとなる分子を予測した薬の開発支援

■介護保険法改定と介護報酬改定(地域ケアシステム強化法案)
 介護報酬改定の議論はこれから本格的に行われるので、社会保障審議会介護給付費分科会の議論を見守らなければなりません。
 診療所に関連が多い居宅療養管理指導については、平成28年診療報酬改定の患者数のカウント方法に足並みを揃えることが想定されます。

有限会社メディカル・サポート・システムズ
代表取締役
細谷 邦夫
投稿日 2023.02.10

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