今回の医療法改正には5つの改正ポイントが挙げられます。
(1) 特定機能病院のガバナンス改革に関する規定が創設
(2) 持分無し医療法人への移行期間の認定制度の延長及び認定医療法人への贈与税非課税要件が大幅緩和
(3) 医療機関開設者に対する監督規定整備
(4) 検体検査の品質・精度管理に関する規定創設
(5) 医療機関のウェブサイトなどにおける虚偽・誇大などの表示規制の創設
この中で多くの医療機関に関わる事項である(5)について説明させて頂きます。
ウェブサイトについては、今までは医療機関の広告とはみなされず規制の対象外とされてきましたが、美容医療に関する相談件数が増加する中、ウェブサイトについても規制の対象とし、是正命令や罰則付与を行う事が必要との議論から、医療法の広告に含める事となりました。
尚、従来から禁止される広告内容としては、比較優良広告・誇大広告・公序良俗に反する内容・患者その他の者の主観又は伝聞に基づく体験談の広告・治療内容の効果について患者を誤認させるおそれがある治療前、治療後の写真の広告がありました。
この点については、引き続き広告禁止に関する基本的な考え方は踏襲されています。
但し、今は多くの患者が医療機関検索手法としてウェブサイトを上位に挙げています。
そのウェブサイトに大きな規制を掛ける事は、患者が求める情報の円滑な提供が妨げられる事になってしまいます。そこで一定の条件の下に広告可能事項の限定を解除するという考え方が導入されました。
すなわち、ウェブサイトの広告の位置づけとしては、
a)医療機関のウェブサイトは、広告可能事項を限定する
医療法第六条の五 
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。
b)詳細な診療内容を患者が求める情報の円滑な提供が妨げる恐れがあることから、一定の条件の下に広告可能事項の限定を解除するウェブサイトの広告は情報を原則として限定されますが、広告事項の限定解除という条件を付けることで患者が自ら求める情報の提供については認める方向性を示しました。
それに伴い、医療法の広告の定義が変更されることになりました。広告の定義である三要素から認知性が外れ、誘因性、特定性を満たす場合に広告とみなされます。
ウェブサイトは患者が意識して情報を入手する手段であることから、従来認知性が無く広告ではないとされてきました。
・誘因性  患者の受診を誘引する意図
・特定性  医療機関の名称が特定可能
・認知性  一般人が認知出来る状態・・・無意識に情報が入ってくる状態
 (駅看板等)


定義改正前医療法改正後医療法
誘引性誘引性
特定性特定性
認知性
①~③を満たす場合① ②を満たす場合

ウェブサイトを広告と規定しながらも患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要から、広告可能事項の限定を解除することで必要な情報提供が可能となります。
その広告可能事項の限定解除が認められる場合とは、次の①~④のいずれも満たしている場合が限定解除の必須条件です。
医療に関する適切な選択に資する情報であって患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト広告である
表示される情報の内容について、患者が容易に照会が出来るよう問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
問い合わせ先とは、電話番号やEメールアドレスを言います。
今回の改正はウェブサイトは医療法上の広告規制の対象とするが、上記の広告可能事項の限定解除が認められる仕組みを組んでおけば、今まで通り患者が求める情報をウェブサイトにおいて積極的に開示する事が出来ることになります。
例えば、
・休日又は夜間における診療の実施
・セカンドオピニオンの実施
・平均待ち時間
・平均的な外来患者数
一部の医療機関には広告規制の影響が生じる事になりますが、多くの医療機関においては適正な仕組みを組むことで有効な改正となるものと思われます。

株式会社 MMS
代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.10

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