2度先送りになった消費税引き上げが、来年10月に実施される見込みとなりました。
1989年に消費税が導入されてから3度目の消費税率引き上げになりますが、今回の引き上げの最大のポイントは複数税率の導入に踏み込んだ事です。
原則税率が10%、軽減税率が8%と複数税率となります。税率格差が2%とでは大きな影響が出ないと思われますが、将来的にはフランスのように原則19.6%、軽減税率5.5%となると、原則で買うのか、軽減税率で買うのかでは大きな違いとなります。
複数税率の導入で大きな混乱を来たさないような準備が必要となります。
では、消費税率引き上げによる医療機関への影響は、どのようになるのでしょうか。多くの医療機関では消費税の申告納付が無く、影響が無いように思われがちです。
それは消費税法に健康保険法、国民健康保険法等の規定に基づく療養の給付及びに入院時食事療養費等と列挙されている社会保険診療については、消費税は非課税と定められているからです。
消費税が非課税だから消費税の影響が無いと勘違いしてしまいますが、医療機関が購入する薬剤、医療機器等の診療に必要となる物の多くには消費税が課されており、医療機関が負担しています。消費税は本来は最終消費者が負担する間接税なのですが、医療の最終消費者である患者さんが負担するのではなく、医療機関が消費税を負担しているのが現状です。
これを一般的には「損税」と言われています。
この損税についての対策については、前々回のメルマガでご紹介致しました。
2019年の消費税率10%への引き上げ対策としては、今迄一貫して行ってきた診療報酬補填方式による事が確実になって来ました。
2018年8月29日に公益社団日本医師会・日本歯科医師会・日本薬剤師会・四病院団体協議会は「控除対象外消費税問題解決の為の新たな税制上の仕組みについての提言」が出されました。
提言趣旨は消費税については診療報酬による補填を原則としながら、医療機関別の補填のバラツキによる補填不足ついては、医療機関自らの申告によって不足を補う方式を提案しています。医療機関別による補填不足が生じる理由としては、平成26年の診療報酬による補填が初診料で12点、再診料で3点と基本診療料によった為です。
その理由としては、診療報酬による補填を基本診療料に明確に示し残していく為と言われています。
補填状況については、厚生労働省の調査結果が公表されてました。

消費税補填率1施設・1年間当たりの状況
全体92.50%
診療所111.20%
病院全体85.00%

これは診療所を全体として集計された数値ですので、診療科目による影響もかなり出てるのではと思われます。
初診患者の多い診療科、すなわち急性期の患者が多い小児科等の診療科目と
再診を中心とした心療科等では補填状況に違いが生じているのではと推察致します。
2019年消費税率10%への引き上げ対策としての診療報酬による補填も、現在中医協で検討が始まっていますが、初診料・再診料を基本とした検討が進んでいおり、次回の診療報酬改定による補填状況も初診料・再診料の算定回数による影響が大きく出るものと予測されます。

株式会社 MMS
代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.10

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