医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

 健康保険法により定められた「保険医療機関及び保険医療担当規則」が療養担当規則と言われています。
保険医療を担う医療機関が守るべき定めについて、全24条で定められており、保険医療を行う際の約束事です。
 実務で問題となる項目として良く知られているのが、第五条(一部負担金等の受領)です。いわゆる窓口減免と言われる行為の禁止です。
 職員やその家族、または院長親族等への診療を行った際に、健康保険への7割請求は行うが、患者負担分である3割の窓口での受領を行わない行為を禁止するものです。つい行ってしまい勝ちの行為ですが、療養担当規則では明確に禁止となっています。
理由としては患者の不当誘因にあると言われています。

A診療所では窓口負担金を受領するが、B診療所では受領しないとすると、患者の多くはB診療所を選択することになってしまいます。

 そのような不当な行為を禁止する趣旨ですが、今年の1月に都内歯科医院でポイント制導入で、実質的に窓口負担金を免除し患者誘因を図る事例が報道されました。
 都内の歯科コンサルタント会社が運営する仕組みで、全国400の歯科医院が加入していると言われています。仕組みは治療内容について口コミを記入することで100円~1万円相当のポイントが貰え、1ポイント1円で商品券や電子マネーに交換出来るものです。
 今の所、明確にポイント制を規制する動きは出ていませんが問題視されています。

 平成26年4月1日に療養担当規則の一部改定が行われ、新たな項目が新設されました。


保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十三年厚生省令第十五号)
平成26年4月1日施行

(経済上の利益の提供による誘引の禁止)


第二条の四の二  保険医療機関は、患者に対して、第五条の規定により受領する費用の額に応じて当該保険医療機関が行う収益業務に係る物品の対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により、当該患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。

  保険医療機関は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない

 以前から在宅診療所に対して、在宅患者を紹介する事業者の存在が問題視されていましたが、今回の改定で明確に禁止されることとなりました。
 同時に今年の診療報酬改定に於いても、在宅患者訪問診療料の大幅な引き下げが行われた事もご存知かと思います。

  在宅患者訪問診療料(一日につき)
  ・同一建物居住者以外   830点⇒833点
  ・同一建物居住者
     特定施設等に入居する者  400点⇒203点
     上記以外         200点⇒103点

 その他にも問題視されている行為は見受けられており、新たな項目が今後も 新設される可能性を含んでいます。

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2022.11.09

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