■医療広告ガイドラインについて医療機関の広告が、平成19年の第5次医療法改正で大きく変わった事を、前回で書かせて頂きました。では、具体的にどのような点が変わったのでしょうか。それを理解する為には、厚生労働省から出されている「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」、いわゆる「医療広告ガイドライン」と平成19年9月に作成された医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)に記載されている52のQ&Aを読むことが必要となります。医療広告ガイドラインでは、広告について次のように書かれています。厚生労働省医政局長 平成19年3月30日「患者等が病状に合った適切な医療機関を選択することが可能となるように、
患者等に対して必要な情報が正確に提供され、その選択を支援する観点から、
広告可能な内容を相当程度拡大するこことしたものである。」
前段(筆者注)
「客観性・正確性を確保し得る事項については、広告事項として出来る限り
幅広く認めることとしたものである。」
後段(筆者注)
前段では広告規制緩和理由について触れ、後段では広告に求められる要件が明示されています。すなわち、広告には客観性・正確性の具備が求められるのです。それを理解する為に、医療広告ガイドラインに関するQ&Aから事例を見てみましょう。Q1-2 新聞や雑誌の記事の引用として、例えば、雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の
一覧」をそのまま、他の医療機関名も含めて掲載すれば、広告物に記載可能でしょうか。
答えは広告不可となっています。
その理由は、日本が誇る50病院の選定基準が不明であり、新聞や雑誌社の独自の判断基準で主観的判断による選定となっています。広告に求められる要件である「客観性」に欠ける為、広告が出来ないと判断されるのです。Q2-16 特定の医師のキャリアとして、その医師が行った手術の件数を広告することは可能
でしょうか。
答えは広告不可となっています。
その理由は、医師の行った手術と言っても、執刀医として関わった手術を指すのか、それとも研修医として関わった手術も件数として計算したのか判然としない為、「正確性」「客観性」を担保出来ない為に 広告してはならないとされています。Q3-1 「最新の治療法」や「最新の医療機器」といったような「最新」という表現は、広告が禁止
されるのでしょうか。
答えは広告不可となっています。
その理由は、最新の定義が何時の時点を指すのか不明であり、最新の定義は主観的に決められる可能性を含んでいる為です。 「客観性」を欠いた表現となる為に、広告が出来ないと判断されています。客観性、正確性を理解して頂く為に広告不可な事例を取り上げましたが Q&Aには以前では広告が出来なかった事が、新たに広告可能となった事例も掲載されていますので、 貴院の広告戦略として活用して頂ければと思います。
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一