医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

 今年も残り僅かとなり、来年度の予算編成の議論が本格化するとともに、診療報酬改定と介護報酬改定に関する報道も増えてきている。
 センセーショナルな見出しに踊らされることの無いように、今後の改定スケジュールについて確認してみたい。

○改定率について
 改定の直前の11月頃には改定率について新聞を賑わす機会が増えてくる。改定率の発表は例年12月20日前後になるが、それに向けて10月下旬から厚生労働省と財務省のさや当てが始まるのが通例である。
 10月25日には財政制度審議会から2%台の改定率を求めるという新聞報道も出たが、あくまでも「財務省としての主張」に過ぎないことに留意し、今後の議論の行方を見守りたい。

○改定のスケジュール
 例年の改定スケジュールは概ね下記の通りであるので、それぞれの時期の情報に注視する必要がある

12月下旬改定率の発表
1月下旬中医協での議論取り纏め
2月14日?中医協答申
3月5日?官報報告

○個々の改定内容
・遠隔診療
 本稿の執筆時点(平成29年11月1日)では、中央社会保険医療協議会で明確な方向性は見えていない。遠隔診療は基本的には対面診療の補完であるという認識では一致しているが、明確なエビデンスがない状況での導入には慎重な意見が出ている。
 算定対象となる候補として生活習慣病やCPAPなどが挙げられている。

・保湿剤の取り扱いについて
 急に議論の俎上に上がってきた感があるが、美容目的での使用が問題視されているヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質(ヒルドイド等)やワセリン、尿素等の保湿剤について皮膚乾燥症について、他の外皮用薬や抗ヒスタミン薬と同時処方されていない場合は保険適用としない旨の提言がなされると同時に、アトピー性皮膚炎等の重症化に留意しなければならないとの意見が出されている。

・残薬調整、分割調剤について
 医師の指示事項の明確化や処方せんへの記載方法の合理化などによる服薬アドヒアランスの向上や疑義照会への医師の負担軽減を目的として、処方せん様式の見直しが提案されている。

・多剤投与、重複投与の適正化
 平成28年度診療報酬改定で新設された薬剤総合評価調整管理料をもう一歩踏み込んで、調剤薬局の薬剤師からの処方提案によって処方内容が変更された結果として患者が服用する薬剤が減少した場合の調剤報酬による評価が提案された。
 慎重な対応を求める意見が出されているものの、薬剤師との連携はますます重要性を増すものと思われる。

・後発医薬品について
 政府が目標とする後発医薬品の使用割合80%達成のために、さらなる推進をする旨の提案がなされている。後発医薬品使用体制加算や一般名処方加算の算定要件等の見直しが想定される。

・自費の取り扱いについて
 「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて(平成17年保医発第 0901002 号)」に以下の内容を追加してはどうかとの意見が出ており、概ね了承の方向である。
 患者の求めに応じで画像・動画情報を提供する場合や公的な手続等を代行した場合に係る費用(患者が他の医療機関の医師から助言を得ることを目的とする場合は、従来通りの取り扱い)

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.10

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