医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

診療報酬に関して2018年12月になって、2点の診療報酬改定の動きが明らかになりました。
一点目は妊婦加算に関する動きです。
平成30年12月19日に中央社会保険医療協議会から、厚生労働大臣への答申書が提出されました。答申の趣旨は「妊婦加算の取り扱いについて」です。
妊婦加算とは、日本産婦人科医会・日本産婦人科学会からの妊婦の外来診療に対する評価新設の要望から、平成30年の診療報酬改定において、妊婦に対する通常よりも丁寧な診察を評価する観点から妊婦加算が新設されました。
         <初診料の場合 75点  再診料・外来診療料 38点>
しかし、妊婦加算について十分な説明が患者さんになされないままに算定されたり、コンタクト処方など妊婦でない患者と同様の診察を行う場合にも算定された事例が問題視され、今回の答申となりました。
答申書ではその趣旨や内容が十分に理解されず、妊婦やその家族への誤解や不安を与えたとして、妊婦加算の算定凍結の措置を講ずるとしています。今後は妊婦加算の新設趣旨である妊婦にとって頻度の高い合併症や、診断が困難な疾患を念頭に置いた診察の必要性等に基づいたエビデンスの検証を踏まえて、慎重な議論が続けられる事となりましたが、妊婦加算に対する基本的な考え方を変更するものではないとされています。2019年1月からは一旦は凍結となりますが、決して廃止という趣旨ではありません。
今後、適正な運用が出来る仕組みを検討した上で、妊婦加算は復活するものと予測されます。

診療報酬に関するもう一点の動きは、医療機関に対する消費税の控除対象外消費税問題、いわゆる損税対策としての診療報酬改定です。
平成元年(1989年)消費税導入時より一貫して診療報酬による控除対象外消費税の補填が行なわれて来ました。
 平成元年消費税3%引き上げ・・・・診療報酬引き上げ0.76%
 平成9年消費税5%引き上げ・・・・診療報酬引き上げ0.77%
特に平成26年の消費税率8%引き上げ時には診療報酬による補填額を明確に残す事と、多くの医療機関に補填が及ぶようにとの2点から、基本診療料である初診料、再診料に診療報酬による補填を行いました。今回も12月17日の予算大臣折衝を踏まえて、2019年10月の消費税率10%への引き上げ時の診療報酬改定額が決定致しました。
診療報酬改定率は全体で+0.41%  医科+0.48% 歯科+0.57%になります。
これにより2019年10月に控除対象外消費税補填だけを目的とした診療報酬引き上げが行われることになります。今迄の消費税引き上げは4月に実施されていたので、通常の診療報酬引き上げと同時に対応出来ましたが、今回は10月という診療報酬改定時期とは異なる時期の引き上げとなる為に、変則的ですが消費税補填だけの診療報酬引き上げが行われることになります。
そして2020年4月には通常の診療報酬改定と半年間で立て続けに二度の診療報酬改定が行われる事になります。今から早目の対応を検討して頂きたいと思います。
2019年10月の診療報酬改定は、消費税対応だけが目的となりますので改定内容もワンポイントとなると予測されます。平成30年11月21日に開催された厚生労働省による「医療機関等における消費税負担に関する分科会」において、診療所については初診料、再診料のみに補填を配分する事が検討されています。

項目平成24年平成26年改定2019年10月
初診料270点282点○○○点
再診料69点72点○○点

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.10

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