医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

 クリニックで支給される賞与については、業績や院長の考えによってその額は一様ではありませんが、ひとつの基準としては、年間で月給の2~3ヶ月分を支給していることが一般的です。例えば、月給18万の受付スタッフの場合、夏賞与1ヶ月分(18万円)、冬賞与1ヶ月分(18万円)といった具合です。
 ただし、その算定のベースを「基本給」とし、基本給の水準を低く設定している場合には、「基本給の4~5ヶ月分」の支給になっているケースもあります。この〇ヶ月分という数字の大きさに、たくさん貰っているというイメージが働き、スタッフ募集の広告に掲載する場合もインパクトがあるためです。

<例>
月給18万円(基本給10万円、職能給8万円)で賞与を54万円支給する場合
 算定基礎を月給(18万円)とすると  → 3ヶ月分支給
                     (計算:18万円×3ヶ月=54万円)
 算定基礎を基本給(10万円)とすると → 5.4ヶ月分支給
                     (計算:10万円×5.4ヶ月=54万円)

 賞与の算定基礎を何にするかは見た目の印象の問題であるため、院長のお考えで決定いただければ十分ですが、いずれの場合も、やはり業績や評価を公正に反映していくことが望ましいといえます。例えば以下のような支給基準を作り、評価結果に基づいて支給する方法があります。
 ただし、元来賞与は利益配分の考え方がベースにあり、変動する性質をもったものであるため、あまり「必ず貰える」「昨年よりも金額が上がる」というイメージが付き過ぎるのは避けた方が良いでしょう。そのため、この基準もスタッフに公開はせず、「一定の仕組のもと、公平に支給します」というメッセージのみ伝えるのが良いと考えます。

【賞与支給基準 例】
評価業績
良好通常悪化
1.61.41.0
1.41.20.8
1.21.00.6
0.80.50.2
000
※業績良好 経常利益率〇%以上または〇〇万円以上
※業績通常 経常利益率〇%~〇%または〇〇万円~〇〇万円
※業績悪化 経常利益率〇%以下または〇〇万円以下

 この評価は、単に賞与の査定を目的化せず、一人ひとりを承認するとともに、院長の期待することをスタッフに伝えていくことがポイントです。評価されることで、スタッフは院長の期待することを意識し、その方向に向けて頑張ろうとするインセンティブが働きます。時間はかかりますが、その取り組みを継続していくことにより、クリニック全体で院長の求める行動に近づけることを目指していくことが目的です。

パートにも賞与があるの?

 パートスタッフに賞与を支給しているケースはあまり多くありません。まず、扶養の範囲内で勤務しているスタッフには支給することはほとんどなく、フルタイムに近い勤務をしているパートスタッフに対しても、数万円の支給にとどめていることが多いのが実態です。
 いずれにしても、金額よりも、院長が日頃の頑張りをねぎらい、評価を処遇に反映することでモチベーションを高める一つの方法として、賞与を有効に活用していただくのが良いと考えます。

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.22

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