医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

 2024年診療報酬改定は個別改定項目(いわゆる短冊)が235項目という膨大な改定内容となりました。
その中で多くの診療所に影響が出ると予測される項目3点について見てみたいと思います。

 第一点は院外処方箋料の引き下げです。改定前は68点でしたが、今回の改定では60点と8点の減点となっています。尚、多剤投与の場合も同様となります。
一般名処方加算は加算1が7点から10点、加算2が5点から8点と3点のプラス改定となりましたが、実質は5点のマイナス改定です。
一般的な内科診療所で年間70万円から80万円の減収となると予測されます。
6月改定前迄には自院の数値検証を行って頂きたいと思います。

 第二点は高血圧、糖尿病、脂質異常の生活習慣病が特定疾患療養管理料と特定疾患処方管理加算から外されることになります。
特定疾患療養管理料は225点、特定疾患処方管理加算は短期処方の加算1が18点(6月以降は廃止)、28日以上の長期処方の加算2が66点(6月以降は56点)、多くの医療機関で算定されていると思われますが、改定により生活習慣病は生活習慣病管理料で算定する事になり、特定疾患処方管理加算は算定不可となります。

生活習慣病管理料Ⅰの点数も改定されることになり、同時に新たに生活習慣病管理加算Ⅱが新設されることになります。


 今迄多くの医療機関が生活習慣病管理料を算定してこなかった理由として挙げらるのが次の2点です。

a) 療養計画書を作成し、患者に対して丁寧に説明の上当該計画書に署名を受ける事に時間が掛かる。
b) 生活習慣病管理料を算定することで自己負担額が上がることについて患者の理解が得にくいこと。

この点についての対応を自院で検討して置いて頂きたい思います。
又、療養計画書は患者や家族からの求めがあった場合や患者の状態に変化がなくても「概ね4ケ月に1回以上は交付する」という取り扱いが示されました。

 第三点目としては、今改定で賃上げに対応に対する診療報酬が設定されました。
賃上げがテーマとして挙げられたのは中央社会保険医療協議会で取り上げられた調査結果に、医療機関における賃金引き上げの状況が全産業のベースアップと比較して大きく下回ると言う数値が要因の一つとされています。
医療従事者を次のように2区分に分けて、其々へのベースアップを図る診療報酬の加算が設けられました。



②に該当する職種に対しては初診料・再診療の引き上げを充当する
 初診料288点⇒291点  再診料144点⇒146点
に該当する職種に対してはベースアップ評価料Ⅰを充当する
 初診時6点アップ  再診時2点アップ

評価料Ⅰで賄えない場合にはベースアップ評価料Ⅱで充当することになります。
厚労省作成によるベースアップ評価料計算ツールを使用して、8段階に分かれているベースアップ評価料の中から、選定すべき評価料が決まります。
賃上げ対応加算については細かな取り決めが設けられていますので、詳細を確認しておいて頂ければと思います。


公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2024.05.10

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