- 2024年6月からの診療報酬改定に即して、保険医療機関及び保険医療養担当規則(療養担当規則)の改定が行われました。療養担当規則は保険医療を行う医療機関が遵守しなければならない規則が24条から定められています。
今回の改定は規則第二条の六に2項が追加となりました。
（掲示）
第二条の六 保険医療機関は、その病院又は診療所内の見やすい場所に、第五条の三第四項、第五条の三の二第四項及び第五条の四第二項に規定する事項のほか、別に厚生労働大臣が定める事項を掲示しなければならない。
(追加となった項目)
２ 保険医療機関は、原則として、前項の厚生労働大臣が定める事項をウェブサイトに掲載しなければならない。
第二条の六に定められた事項は院内掲示が以前より義務付けられており、今回改定ではその内容をウェブサイト(ホームページ)にも合わせて掲載が
義務となりました
第五条の三第四項 食事療養に関する内容と費用
第五条の三の二第四項 入院患者に対する生活療養に関する内容
第五条の四第二項 選定療養に関する内容
無床診療所の場合には選定療養を行っている場合には、院内掲示と共に自院のホームページにも同様に掲載さなければならない事となりました。
但し、令和7年5月31日迄経過措置期間が設けられていますので、それまでに対応することが求められます。
よくご質問を頂くのはホームページが無い場合には、ホームページを来年5月迄に作らなければならないのかと言うことですが、今回の改定はホームページ
がある場合にはホームページにも掲載が必要という内容なので、ホームページ自体の作成を義務付けるものではありませんのでご注意下さい。
又、厚生労働大臣が定める事項もウェブサイトに掲載しなければならない事になります。
具体的には地方厚生局に届け出た各施設基準が該当することになります。
医療機関によって違いがありますが、多くの医療機関(無床診療所)が該当する届け出として挙げられるのは次の項目となります。
a) 明細書発行体制加算について
医療の透明化や患者様への情報提供を積極的に推進していく為に、領収証の発行の際に個別の診療報酬の算定項目がわかる明細書を無料で発行している旨
b) 一般名処方加算について
後発医薬品の使用促進を図るとともに、医薬品の安定供給に向けた取り組みなどを実施していること。
後発医薬品のある医薬品について、特定の医薬品名を指定するのではなく、薬剤の成分をもとにした一般名処方を行う旨
c) 医療情報取得加算について
令和5年4月から導入が義務附けられたオンライン資格確認を実施し、
質の高い医療を実施する為に充分な情報収集と活用を行っている旨
d)外来感染対策加算について
院内感染対策として次の取り組みを実施している
・院内感染対策管理者を中心として、院内感染対策に取り組んでいる
・研修会を年に2回実施し、必要に応じて随時研修を実施
・院内感染対策マニュアルを作成し、院内感染対策を推進している
・感染症が疑われる場合は、いち早く特定し迅速な対応を実施
ご相談を頂いた医療機関で掲載事項となるものを表1に纏めましたので、ご参考にして頂ければと思います。
他にも各医療機関によっては違いがありますので、充分に確認の上ホームページへの掲載を行って頂きたいと思います。
尚、医療法施行規則に定められている管理医師名、診療時間等の院内掲示については、療養担当規則の掲示には該当しない為ホームページへの
掲載義務の対象とはなりません。
又、療養担当規則は保険診療を行う医療機関が守らなければならないルールなので、自由診療だけを行う医療機関は今回のホームページ掲示義務の対象外となります。
表1
◯ 新設項目
医療情報取得加算
医療DX推進体制整備加算
在宅医療DX情報活用加算
介護保険施設等連携往診加算
在宅医療情報連携加算
訪問看護医療DX情報活用加算
早期診療体制充実加算
◯ 既存項目
情報通信機器を用いた診療
機能強化加算
地域包括診療料、認知症地域包括診療料
地域包括診療加算、認知症地域包括診療加算
小児かかりつけ診療料
外来後発医薬品使用体制加算
一般名処方加算
コンタクレンズ検査料
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
