医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

平成27年9月に公布された第7次医療法改定における注目点について、前回は医療法人のガバナンス強化が行われることについて書きましたが、今回は合併、分割について記載致します。

改正前医療法においても、医療法人の合併についての規定はありました。
旧法第五七条 社団たる医療法人は、総社員の同意があるときは、他の社団たる医療法人又は財団たる医療法人と合併をすることができる

財団たる医療法人が合併をするには、理事の三分の二以上の同意がなければならない。
ただし、寄附行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。

しかし、この場合には社団医療法人は社団医療法人との合併に限られ、財団医療法人は財団医療法人との合併に限られた規定でした。

今回の医療法改正においては、社団、財団相互の合併も認められるようになりました。
第五十七条 医療法人は、他の医療法人と合併をすることができる。この場合においては、合併をする医療法人は、合併契約を締結しなければならない。

今回の医療法改正を受けて、医療法人の合併による経営強化がより推進されるものと思われます。
同時に旧医療法では規定されていなかった分割についても、新たに認められることになりました。
第六十条 医療法人は、吸収分割をすることができる。

これにより一般企業で行われているようなM&Aや分割譲渡が促進されるものと
思われ、経営力の強い医療法人との2極分化が更に進むものと思われます。
尚、都道府県知事の認可を受けて実施する適格分割に関する規定整備が行われたが、
その中でいわゆる一人医師医療法人の大半である出資持分の定めのある医療法人の
位置づけが明確になってきました。


○医療法人の分割の仕組みの新設
 現行の医療法人では病院等の事業譲渡を行うことは可能だが、分割については制度化されていない。
 事業譲渡の場合、病院の廃止届出・新規の解説許可が必要となることや、債権者の個別の承諾が必要となる等、手続きが煩雑な部分があることから、今般、他の法人類型と合わせて、医療法人においても分割の制度を新設する。

その際、分割制度の対象範囲としては、持分あり医療法人は既存の法人しか認めていないことから対象とせず、持分なし医療法人(社団・財団)について認める。
また、税制上の観点から社会医療法人・特定医療法人を対象外とする。


   厚生労働省 医政局医療経営支援課 資料より


「持分あり医療法人は、既存の医療法人しか認めていないことから対象とせず」
すなわち、出資持分の定めのある医療法人は、あくまで経過措置型医療法人として例外的に認められた医療法人であって、医療法としては本来の医療法人ではないと位置付けられているのです。
平成19年の第5次医療法改正において、新たに創設された基金拠出型医療法人が医療法で位置付けた医療法人形態となるのです。

改正医療法に伴う医療法人制度



平成19年4月以降設立できる医療法人は、新法の医療法人のみ
(財団医療法人又は社団医療法人であって持分の定めのないもの)
※経過措置型医療法人(旧法の医療法人)は平成19年4月以降設立不可


平成28年3月31日現在40.601ある出資持分の定めのある医療法人は、今後の医療法改正において、どのように位置付けられるのか注視しなければならない重要な課題となります。

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.10

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