医療機関のホームページ広告については、医療情報提供内容等のあり方に関する検討会で規制の範囲や、規制のあり方について引き続き検討がなされています。
平成28年3月24日に第1回が開催され、平成30年1月25日では第8回が継続的に開催されています。
ホームページ広告のメリットを生かしながら、特に美容外科等に多くみられる不適切な広告内容に規制をどのように掛けるべきかの議論が続けられています。
その主たるポイントとしては、検討会第2回の資料に纏められています。
①規制の範囲、あり方に関する選択肢(第2回検討会(平成28年5月)資料) |
| (1) | (2) | (3) |
| 全ての医療機関等のウェブサイトを一律に広告として扱う | 虚偽・誇大な表示等に対する部分的な規制を行う | 美容医療サービス等の自由診療に関するウェブサイトに限定して規制する |
メリット | 医療機関等のウェブサイトに着いても、広告と同一の基準による規制が可能となる。 | 現在実施されている、より詳細な診療内容等に対する情報提供への影響を回避しつつ、不適切な表示の規制が可能となる。 | 相談件数が多いとされている美容医療等の分野に限定した対応を可能とするとともに、通常の保険診療等への影響も回避できる。 |
デメリット | 現在実施されている、より詳細な診療内容等に対する情報提供への影響が懸念される。 | 虚偽・誇大な表示等の規制を行う部分以外は従来と同様になる。 | 美容医療サービス等の自由診療分野以外について、ウェブサイトに同様の表示がなされる可能性は否定できない。 |
議論を進めると同時に具体的な対策の構築として、第3回議論では「ネットパトロールによる監視体制」を構築することが検討され、概算要求予算額が42.000千円計上されました。
都道府県、保健所設置市、特別区において円滑に規制を執行できるよう違反事例をガイドラインにおいて明確化されました。
厚生労働省から外部委託を行い不適切なウェブサイト等の情報収集と、不適切な記載を認めた場合には規制を周知し自主的な見直しを図る。
更に、改善が認められない場合には、都道府県への情報提供を行う仕組みです。
特に美容医療団体等は合同で美容医療団体等による連絡会を立ち上げ、規制の周知遵守の徹底に取り組む姿勢を明確にしました。
医療機関のウェブサイトにおいて不適切な表示に対して、平成29年8月24日より、医療等に係るウェブサイトの監視強化体制事業として「医療機関ネットパトロール」を開始し、医療機関のウェブサイト監視強化を行うと同時に、一般からの通報を積極的に受けられるようにする為、「医療機関ネットパトロール相談室」を開設し、情報提供を電話やメールで受け付けています。
開始してから5ヶ月間の進捗状況は次の通りです。
実績表(2017年8月~12月パトロール分)①審査件数 (ウェブサイト数) | ②不適切な表示が 見られたウェブサイト数 | ③通知件数 |
730 | 85 | 112 |
※上記は1月18日時点における累計数。③は現在手続き中のものを含まない。
1つのウェブサイトに複数の医療機関を掲載している場合、そのウェブサイトに係わる通知は
複数の医療機関に及ぶため、②と③の累計数は必ずしも一致しない。(②<③)。
不適切な表示として上げられているポイントは、比較・誇大・客観的事実である事を証明出来ない内容となっている点です。
具体的には下記のような内容が不適切として指摘を受けています。
・国内最高峰の○○治療を行うクリニック
・この夏おすすめ! 特別プラン
・誰でも、どんな○○にも治療効果が期待出来ます。
・最先端医療のがん○○療法に副作用はありません
・モデルも通う、○○クリニック
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一