医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

2020年6月第二次補正予算で、新型コロナ感染症緊急事業包括支援事業として予算規模2,589億円が計上されました。
保険診療を行う医療機関、薬局を対象として、新型コロナ感染症の院内等での感染拡大を防ぐための取り組む費用を補助するものです。
補助上限額は、
 ・病院(医科・歯科)          200万円+5万円×病床数
 ・有床診療所(医科・歯科)       200万円
 ・無床診療所(医科・歯科)       100万円
 ・薬局 訪問看護ステーション 助産所 70万円
厚生労働省のパンフレットにその取り組み例が挙げられています。
① 共通して触れる部分の定期的・頻回な清拭・消毒などの環境整備
② 予約診療の拡大、整理券の配布等を行い、患者に適切な受診の仕方を周知
③ 発熱等の症状を有する新型コロナ疑いの患者とその他の患者が混在しないよう、動線の確保やレイアウトの変更、診療順の工夫など
④ 電話等情報通信機器を用いた診療体制等の確保
⑤ 感染防止のための個人防護具等の確保
但し、この事例はあくまで例示であり、これに限るものではないと注記されています。
感染拡大防止の取り組みに対して幅広く補助が行われるのです。
しかし、この支援事業の交付実績が余り進んでいません。
厚生労働省から支援事業交付実績(医療分)の2020年11月16日現在の支援金額と支援件数が発表されました。
 ・支援金額  552億5百万円  予算に対して21%
 ・支援件数    48,322件  医療機関約179,000件(注1)に対して27%

申請件数無しの県が未だに2県、申請件数が20件と少ない県もあります。
医療機関の新型コロナ感染症対策は、患者さんが安心して通院出来る環境作りと職員が安心して働ける職場環境整備として積極的に行う必要があると言う趣旨から、今回の支援金申請には概算請求が取り込まれました。
見積書等の必要書類が揃わない状態でも、対象期間に行う感染防止対策の費用の申請が可能となっています。
実際の支出が行われた後に実績報告として領収書を添付して報告が必要となりますが、緊急対策としての活用が出来ます。
何故、支援事業の活用状況が振るわないのでしょうか。
何人かの院長にお聞きしたところ、
 a) 申請方法が、原則電子申請となっていて苦手だ。
 b) 感染拡大防止等支援事業の内容が分かり難い。
この2点が申請が進まない阻害要因となっているようです。
対応策としては、電子申請に関しては院長がご自身で行うのではなく、WEBが得意な若い職員に代行して頂くことをお薦めします。
事業計画書の記載内容としては、医療機関コードや院長名等の記載等で複雑な申請内容とはなっていません。
又、内容が分かり難いという場合には、当社で作成していますユーチューブをご覧頂ければと思います。
「MSGメディカルサポートグループ」では医療経営に関わる情報を無料でご覧頂けるようにしております。
この中に「医療機関のための感染拡大防止等支援事業」として申請方法を10分程度で纏めて説明しております。

対象期間令和2年4月1日~令和3年3月31日
申請回数期間中に1回だけ
概算交付申請事業計画書に支出予定を記載
実績報告書領収書を添付の上提出

この感染拡大防止支援事業に最近大きな展開が見られました。
令和2年11月27日公益社団法人日本医師会から各都道府県医師会宛に情報提供がありました。
その内容は今回の感染対策支援事業は当初は感染対策に要する費用への支援として開始されましたが、日本医師会が厚生労働省医政局に確認した所、日常診療業務費用へ支援の幅を広げて良いとの回答が有りました。
具体的には
 ・日常業務に要する消耗品費 (固定資産に計上しないもの)
 ・日常診療に要する材料費 (衛生材料、消毒薬など)
   直接診療報酬等を請求出来るものは対象外  
 ・水道光熱費、燃料費
 ・医療施設、設備に係る火災保険料、地震保険、動産保険の保険料
 ・休業補償保険の保険料
 ・既存の診療スペースに係る家賃
 ・日常診療、日常業務に使う既存の医療機器・事務機器のリース料
 ・既存の顧問弁護士、顧問税理士等の報酬
かなり幅広い内容となっています。
まだ感染拡大防止等支援事業を申請されていない院長は、令和3年3月31日迄の期限ですのでご検討頂ければと思います。

注1 医療施設動態調査 令和元年5月末


公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 副会長
株式会社MMS 代表取締役            
              佐久間 賢一 

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.03.13

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