医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

 2008年の公益法人制度改革において、主務官庁制・許可主義を廃止し法人設立と公益性の判断を分離する事となり、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」と「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行されました。
公益法人制度改革以前は、一般社団法人の設立には「公益性」が必要とされており、その対象は主務官庁の設立許可を得た法人だけとなっていました。
公益法人制度改革以降は一般社団法人・一般財団法人は官公庁への許可が不要となり法務局へ設立に必要な申請書類提出で設立が可能となりました。
2019年には一般社団法人社数が6.000社を超え、法人別の構成比で見た場合、株式会社、合同会社次ぎ5%を占めるようになりました。
業者別ではサービス業が最多、次いで学術研究・専門・技術サービス、そして医療・福祉事業となっています。
 医療・福祉事業が増加している要因の一つには、一般社団法人による医療法人設立手続きが、医療法人社団の設立要件等と比較し容易であることが挙げられるのではないでしょうか。

医療法人比較医療法人一般社団法人
根拠法医療法一般社団法人および一般財団法人に関する法律
設立規定主たる事務所の所在地の都道府県知事の
許可を受けなければ設立が出来ない
その主たる事務所の所在地において設立の
登記をすることによって成立する
申請方法年に2回 都道府県の事前審査必要無し
許認可半年程度の審査期間必要無し
理事長原則として医師または歯科医師誰でもなれる
社員3人以上2人以上
社員資格営利法人は不可営利法人も可能
配当行為不可不可
事業内容附帯業務として範囲が限定特別な制限なし

一般社団法人による医療法人設立への対応として、2007年3月20日に各都道府県医政主管部(局)長あてに次のような厚生労働省医政局総務課長通知が出されています。
「医療法人以外の法人による医療機関の開設者の非営利性の確認について」
改正法の趣旨に鑑みれば、医療法人以外の法人についても非営利性の徹底を図ることが必要であることから、今般、医療法人以外の法人が解散した時の残余財産の取扱いについて、医療機関を開設する際に留意すべき点を定めたので、当該法人の開設許可の審査及び開設後の医療機関に対する検査にあたり十分留意の上厳正に対処されたいと。
                    記
(開設許可の審査に当たり、法人解散時の残余財産の取扱いについて確認する事項)
医療法人以外の法人が開設した医療機関について、解散した場合の残余財産が帰属すべき者に関する規定が、あらかじめ定款、寄附行為等で定められており、かつ、その者は、出資者又はこれに準ずる者以外の者であること。
これを受けて保健所が医療機関開設申請時のチェックポイントとされているのが、非営利性が徹底された一般社団法人であるかの確認です。
具体的には
・定款の中に、毎年の利益配当を行わない事を定めている
・解散した場合の残余財産の帰属先が公的な所として記載されていること
・役員のうちにしめる親族の割合が1/3以下である事
今後も一般社団法人による医療法人設立が増加する場合には、医療法人社団との相違点が多々あることから、何らかの対策が取られるのではないかと推察されます。


公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 副会長
株式会社MMS 代表取締役            
              佐久間 賢一

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.03.13

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