医療安全管理指針とは、医療機関として患者が安全な医療を受けられる環境を整え、医療の安全管理、医療事故防止の徹底を図るための指針を明文化したものとして各医療機関が作成する事が求められています。
平成19年4月の医療法改正に伴い、それ迄は病院、有床診療所に求められていた安全管理体制の確保が無床診療所にも求められることになりました。
そのことが周知徹底されていないために、未だに医療安全管理指針の作成がなされていない無床診療所を多く見掛けます。
医療安全管理の徹底を図る目的で保健所から送られてくる医療安全チェックリストは、無床診療所の場合には、定期的には立ち入り検査が行われていない地域が多いのですが、医療安全チェックリストには医療機関の管理者として守らなければならない項目が挙げられており、医療の安全管理の自主点検を促す目的で作成されています。
某県の医療安全チェックリスト(無床診療所用)を見てみますと、医療の安全管理のための体制確保の項目として、次のような質問が書かれています。
・医療に係る安全管理のための指針は整備されていますか。
・医療に係る安全管理のたるの従業員研修を実施し、また、その記録を残しているか。
(他の機関が実施している研修を受講することで代替可能・年に2回程度)
・医療事故発生時に速やかな報告及び指示が円滑に行われるよう手順書を決め、
従事者への周知が図られている等、医療事故等の改善のための方策が講じられ ていますか。
このような質問に対して整備されていない、実施していない等の回答では、医療法違反に問われることになります。
医療法では次のように定められています。
医療法第六条の十二
病院等の管理者は、厚生労働省令に定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業員に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。
※病院等とは、病院、診療所(有床・無床)、助産所を指します。
ここに書かれている厚生労働省令とは、
厚生労働省令医療法施行規則第一条の十一
病院等の管理者は、医療法第六条の十二の規定に基づき、次に掲げる安全管理のための体制を確保しなければならない
一 医療に係る安全管理のための指針を整備すること
二 医療に係る安全管理のための委員会を設置すること
三 医療に係る安全管理のための職員研修を実施すること
四 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善の為の方針を講ずること
具体的に医療安全管理指針に定めなければならない項目としては、次の七項目になります。
a) 医療安全管理に関する基本的な考え方
b) 医療安全管理委員会・・・・無床診療所では委員会設置は義務ではありません
c) 従業員に対する医療に係る安全管理のための研修に関する指針
d) 事故報告制度等、医療安全の確保を目的とした改善のための基本方針
e) 医療従事者と患者との間の情報の共有に関する基本指針
f) 患者からの相談への対応に関する基本指針
g) その他医療安全推進のための必要な基本方針
医療安全管理指針をゼロから試行錯誤しての作成では時間が掛かってしまいます。
日本医師会が公表しているモデル指針を基に、自院の医療安全管理指針を作成されることをお薦め致します。
下記にその一部を掲載致します。
又、平成19年医療法改正においては医療安全指針だけではなく、下記の指針、手順書等の作成も義務付けられています。