医院開業・経営セミナー 診療報酬改定への対応を誤ると医院経営が厳しくなる?

令和6年4月1日から施行される改正医療法では、医師の働き方改革が大きく取り上げられていますが、もう一つの注目すべき改正点があります。
その条文は第六十九条の二 

六 医療法人に関する情報の調査及び分析等に関する事項
都道府県知事は、地域において必要とされる医療を確保するため、当該都道府県の区域内に主たる事務所を有する医療法人の活動の状況その他の厚生労働省令で定める事項について調査及び分析を行い、その内容を公表するように努めるものとすること

具体的には医療法人が都道府県への決算届け出時に、新たに経営情報の報告義務が課されることになりました。
但し、いわゆる四段階税制(概算経費)を適用した医療法人は適用外となります。
改正医療法の内、当該報告義務は令和5年8月1日から施行される為、令和5年8月決算医療法人から提出が義務となり、令和5年11月の都道府県への提出から経営情報の報告が新たに必要となります。
今でも医療法人は原則として決算終了後3ケ月以内に経営情報としての貸借対照表、損益計算書を提出しています。

改正医療法で変わる点は

1)  紙ベースの提出と共に、G-MISと言うシステムに経営情報の入力が必要
2)  損益計算書の指定項目数値を入力  医業収益・材料費・給与費等
3)  職種別の給与及び人数  当初は任意項目となっています
4)  複数の診療所を持つ医療法人の場合には、各診療所毎の経営数値の入力

G-MISとは「医療機関等情報支援システム・・Gathering Medical Information System」の事です。WEB調査を通して医療機関における受診者数、病床使用状況、検査等、医療用物資の備蓄状況等を把握するシステムとして導入されました。
今回G-MISに「医療法人事業報告書経営情報等提出」というボタンが新設されて、全国の医療法人の経営情報の分析・把握に活用されることになりました。

医療法人の経営情報のデーターベース化の目的として挙げられているのは
 ・医療が置かれている現状・実態の理解
 ・経営の影響を踏まえた的確な支援策の検討
 ・医療従事者等の処遇の適正化に向けた検討
 ・医療機関の経営分析への活用
 ・コロナ等の補助金の見える化

勿論、診療報酬改定における検討資料としても利用されることになります。

又、G-MISを通して分析した報告内容は各都道府県のホームページで閲覧が可能とする方向で進められています。
公表する際には個別医療法人データーが分からないようなグルーピングが行なわれることになるとされていますが詳細は不明です。
平成6年4月からは介護事業者にも同様の報告義務が課されることになり、医療・介護全体の分析を行い、今後も増加する社会保障費対策に繋げる事を目指しているものと思われます。

 医療機関の経営情報としては、既に2つの報告書があります。

a)  厚生労働省による医療経済実態調査

全国の病院、診療所、歯科診療所及び保険調剤を行っている保険薬局から調査表を回収する方式で行われています。
令和3年では病院1,426 診療所2,026 歯科診療所753 保険薬局1,133が対象とされていました。
この調査は6月単月の医業収益・医業費用・損益差額の求められた各項目を調査表に記入して提出するものとなっています。
社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備する目的で調査されており、経営数値としては、年間を通しての数値でない点と調査表記入方式なので、医療機関の経営状況を見るには課題が残されています。

b)  TKC M-BAST

TKCとは全国1万人以上が所属する会計士・税理士集団です。
TKCの会計システムを活用し、月次の財務データーを基に経営者へアドバイスを行っています。
その中で医療機関データーを集計・分析したのがM-BASTです。
データーは個人医療機関の確定申告書数値・医療法人の決算書数値を分析したものなので正確性が高いものとなっています。
令和4年版では病院742 診療所8,487 歯科診療所4,223 介護保険施設176の貸借対照表・損益計算書を集計・分析されています。
残念ながら非売品となっており一般の方が目にする機会は少ないと思います。
M-BASTにおいても個別医療機関データーが開示されないようにグルーピング化されています。

ア) 地域区分
(北海道・東北)  (関東)  (東海・北陸)  (近畿)
(中国・四国)   (九州)  (三大都市 東京23区・大阪市・名古屋市)

イ) 診療科区分
内科 外科 整形外科 産婦人科 小児科等  12診療科に区分

ウ) 病床区分
有床 無床

エ) 処方区分
院内処方 院外処方

今回導入される医療法人の経営情報データーベース化による経営情報におけるグルーピング化も同様な区分になるのではと推察しています。


















 
「医療法人・介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析について」





















公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 顧問

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.11.07

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